「ザ・サーチ」読了

「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」(ジョン・バッテル著、中谷和男訳)を一気に読んだ。

こりゃ読み応えがありました。発展途中のGoogleをわかった風に評価せず、どうやって今の位置に来たかをいろいろな人のインタビューを通して見せてくれる。Googleが決して平坦な道を来たわけではなく、なるべくして今の位置にあるわけでもないんだということ、そして「Don't be evil」が思っていたほど強固なものではなさそうだということ、ラリーペイジによってトライアングル体制は壊れるかもしれない、或いは人材を制御できなくなり、エントロピーの法則が今後のGoogleにもあてはまるのかといったことを感じた一方で、日本はどうかとも思った。日本語の扱いはどうなんだと。Googleのトランスレーションサービスの出来の悪さは使った人ならすぐわかるし、同時にGoogleが日本語(だけではないと思うが)には力を入れていないのは一目瞭然。問題は日本語コンテンツの真のネット化のような気がする。英語コンテンツを読めという話はあるけどその逆の声はない。言語の壁によって守られた「見えない僕らだけのサーチ世界」についての是非を僕らはもう少し真剣に考えることが必要だと思われた。以前書いたことがあるが、本気の翻訳エンジンを官民一体となって開発するとか。中国人技術者はアメリカには多いので意外と問題ないのかもしれないなあ。ライブドアを叩いて面白がっている場合ではないと思うが。

この本が価値があると思う理由は、Wired誌共同創業者のジョン・バッテルのインタビュー力もさることながら「鮮度」だと思う。原書「The Search: How Google and Its Rivals Rewrote the Rules of Business and Transformed Our Culture」は2005年9月8日出版で、あとがきに10/5-7に開催されるWeb2.0カンファレンスの通知がオライリーからあったことが記されている。それから2ヶ月後の11月にこの本が出版された。本当につい3ヶ月前のことだ。和訳本によくある、時間的なズレによるストレスを感じることなる読めるのが素晴らしい。コンピュータジャーナリズム色が付いていない中谷さんによる訳もGood。鮮度の良い分、訳者が書いている言語ドメインの違いというか鋭利さはより激しくなっている。暴力的かもしれん(笑)。ITエンジニアより普通のビジネスマンが読んだほうがよくわかるかも。なんかこう、エネルギーのようなものを感じるはず。まずは必読と思う。とりあえずビジネス書のところに山積みされているのはいいことかもしれない。ネットに繋がらないことの恐怖と繋がったことによる恐怖もわかるだろうし。

期せずして、中国向けの検索サービス(Google.cn)における結果検閲が問題となっている。Open Letter to Googleの多くの人の声は本当にペイジやプリンに届くのだろうか。この本を読んだ後、CES 2006 keynote: Google's Larry Pageで見るラリーペイジを見ると「このトッちゃん坊やがThe Matrixの"Architecture"になるのか」と不安に思わないと言えば嘘になる。

Open Letter to Google: Don't be evil!:
Open Letter to Google

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で、今夜からは「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」を読む予定。

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