ウソ写真の真実

ロイターだけでなく、NY TimesとUS Newsも別のウソ写真に引っかかっていた疑いがまたまたブログで暴かれている。元Los Angeles Daily News、Seattle Timesなどのライター・コラムニストで、今は Washington DCで自ブログサイトでの情報発信を中心とした活動をしているMichelle Malkin女史の記事より。
(注:これ以降、リンク先のリンク先まで辿ると、かなり悲惨な写真が掲載されているものもあり、そういうのがダメな人は注意して辿ってください)

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スライドショーで倒れている兄ちゃんの写真が出るんだけど、この人、同じスライドショーの他の場面で出演しているんだな。倒れてる写真で何故か帽子を律儀に脇に挟んでいるんだけど、これと汚れた手の特徴が決め手のようだ。

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NY Timesもこれには気がつかないとだめだろう。確信犯なら別だけど。疑いが広がるにつれ、他にもいろいろ見つかっている。
他にも異なるネタで同じ写真の流用など。これらはいずれも同じ名前のカメラマン達が登場する。ロイターのAdnan HajjとIssam Kobeisi、APのHussein Mallaといった名前だ。で、このHajjという人物。カメラマンではなく、As-Safirという新聞の経済編集者という話がある。As-Safarはレバノンにおけるアンチ・イスラエルのメディア。
Lebanese cope, once again, amid the ruin of war | csmonitor.com:
Adnan al-Hajj, economic editor for the daily newspaper As-Safir, said Israeli bombing has razed an estimated 2,000 to 3,000 homes, and left a much higher number in partial ruin. He put the cost of rebuilding those homes alone at $300 million, not including financial help to the inflated ranks of the homeless.
メディアの信憑性・中立性という意味では大問題だいうことで、当然ながらブログはカメラマンはもちろんそれを掲載したメディアを非難しまくり。しかし、いろいろ見ているとイスラエルに抵抗するため、手段を問わずに反撃している、と見れなくもない。匿名でこんな書き込みがある。
Gateway Pundit: New York Times Busted in Hezbollah Photo Fraud!:
Because the true question at the heart of this whole conflict for us Americans is whose propaganda do you choose to believe: Lebanese or Israel? I certainly hope you've realized that Israel is very adept at utilizing propaganda, or am I expecting too much from you all?
大きなウソの中の小さな真実が大事か、大きな真実の中の小さなウソが問題か?と言いたいのだろう。テロリズムのことがあるので、僕自身はこの件でどちらかを一方的に支持するわけではないけど、今回騒いでいるブログ界はアメリカだからなのか、それともブロガーが偏っているのか、「何故、Hajjがそんなことをしたのか?」という角度での議論がほとんどないのが特徴的だなと思った。

と、ここで話はいきなり飛ぶが、鳥越氏はオーマイニュースを始めるにあたり匿名性を問題にしている。
インタビュー:鳥越俊太郎氏(2)――責任ある参加と「炎上」:阿部重夫編集長ブログ:FACTA online
上の写真の真贋に関する議論は(ブログではあるが)ほとんど記名で行われている。そこで議論にならなかった「何故、Hajjがそんなことをしたのか?」という問いは、彼が「ゴミため」とレッテルを貼る2ちゃんねるならば、ひとしきり祭りになった後、必ず書き込まれるような気がする。結局、匿名性は議論の健全性というかバランスや網羅性とは関係ないんじゃないのー?と思うね。真実を浮かび上がらせたいのなら、こだわる部分が違うんじゃないかと。

それと、これ。
煩悩是道場 - 「みんなの意見」は正しいのだろうか
そうそう。同意。ジェームズ・スロウィッキーのWisdom Of Crowdsが邦訳された「『みんなの意見』は案外正しい (単行本)」という本が売れているようですが、Web 2.0がどうであれ、世の中そんな単純じゃないんじゃないの?という懐疑心は忘れずにいたいものです。で、「みんな」が誰かということが重要!という当たり前のオチになりました。