2007年版イントラネット・ベスト10

ユーザビリティの権威、ジャコブ・ニールセン博士による、恒例のイントラネット総括。2004年を除き、2001年から毎年発表されている。
10 Best Intranets of 2007 (Jakob Nielsen's Alertbox):
Summary:
This year's winners emphasized an editorial approach to news on the homepage. They also took a pragmatic approach to many hyped 'Web 2.0' techniques. While page design is getting more standardized, there's no agreement on CMS or technology platforms for good intranet design.
要約はWebで公開されているが、360ページのレポート本体は有償(US$174)。RSS、Blog、アンケートタイプの投票、Ajax、WikiなどWeb 2.0テクノロジーに対する考え方も述べられており、企業の企画関係者や提案を行う人達にはちょうど良い検討資料と思う。

まだ本体は買っていないので要約だけしか読んでいませんが、目を引いたのは次のようなところ。
  • Web2.0テクノロジの効果的な使い方として、「Ajaxを使った社内ディレクトリ検索」「企業特有の言葉を調べるWiki」
  • 最もよく使用される製品は、Microsoft Windows Server、Google SearchアプライアンスまたはGoogle Mini, Microsoft SharePoint , Microsoft SQL Server, Google Maps, Omniture(Web解析ツール), and Vignette(ECM-Enterprise CMS)
  • イントラネットの主管元は、35%が広報部門、27%がIT部門、19%が人事部門
  • AEP NowやMSW (Microsoft Web)のようにブランディングされる傾向にある
尤も、Web 2.0系メディアでの評価はややシニカル? Read/Write WebのRichard MacManusは、保守的なアドバイスが欲しいならば買いというスタンス。
Jakob Nielsen Takes Potshots at Web 2.0 in Best Intranets of 2007:
There's a lot more useful information in the article, so well worth a read if you work on an Intranet. Despite being annoying and occasionally just plain silly, Nielsen does offer a lot of sound - if conservative - advice for Intranets.
ニールセン博士には煩わしいという評判があって、たまに根拠のない変なコメント(企業ブログでは「昨日何をしたか」を書いたりしている、等)をするので、ちょっと損をしているみたいだな。

昨今は、株式公開企業と非公開企業、さらには連結対象の有無次第で事情(優先事項や制約)がかなり違ってきているので、イントラネットに求められる要件もおのずと変わる。企業によっては、情報漏えいリスクや内部統制面から「1人1メールアドレスっていうのもやめましょう、組織で1アドレスね」みたいな動きだってあるのですよ。銀行業界じゃ珍しくないですが。よって、「イントラネットとは」と一括りにして議論するのは乱暴だというのが、僕の考え。ガバナンスとナレッジ集約を両立するのは難しいです。ましてや、「Enterprise Web 2.0」なんていう言葉を気軽に叫ぶ気には今のところなれないですねえ。

どーでもいい話ですが、池田信夫さんのブログにあった、「blessing in disguise」というフレーズ、結構キタ。Our real blessings often appear to us in the shape of pains, losses and disappointments. 痛みなくして改革なし(笑) 後ろ向きと言われようが、企業にはいろいろ考えがあるのです。

*追記*
こんな記事発見。乱暴すぎ。上場企業のこと言ってるんだったら、もう少し現状を把握してから書いたほうがいいと思いますよ。