2020年までのインターネット予測

フリードマンやトフラーなどの大御所は別として、個人による「これだっつ!」的な思い込み型予測はよくある。ホント、本屋へ行けばこれでもかっていうくらいあるな(笑) しかし、これはちょっと違うアプローチだ。報告書の表題は「The Future of the Intenet II」という2020年までのインターネット予測なんだけど、ハリウッド映画じゃあるまいし、「II」というところがまず怪しい(笑)
Pew Internet: Future of the Internet II:
A survey of internet leaders, activists, and analysts shows that a majority agree with predictions that by 2020:
それはさておき、これのアプローチは742人のリーダー・専門家による予測の集計となっている。どうしてこんな方法を採っているかというと、歴史的な経緯があるのだ。Ithiel de Sola Poolという人が、1983年に「Forecasting the Telephone : A Retrospective Technology Assessment」という本を執筆するときに、その書名にあるように、過去の主たる公式文書、書籍、業界リーダーらのスピーチを検証した。

そして、2003年にJanna Quitney Anderson教授(Elon大学)が1990~1995年に1000人の専門家による4200を超える予測を検証。これの成果を、Imagining the Internet: A History and Forecastに発表した。どうもこれが結構良い分析だったようだ。一方、2001年中頃から研究プロジェクトを始めていた、Lee Rainie氏 (Pew Internet & American Life Project)は、同じ手法で2020年を予測しようと考えた。1990-1995年の専門家達が示唆に富むなら、現代の我々にだってできるだろうというワケ。

その成果物がこの報告書なのだ。Future Boy(?)の僕としては見逃せないシロモノ。トピックスだけを列挙するとこんな感じ。
  1. ローコストのグローバル・ネットワークが成功し、「フラット化する」世界で新しい機会を創造するだろう。
  2. より多くのアクティビティが自動化され、「利口なエージェント」が増殖したとしても、人類はテクノロジーを担当し続ける。とはいえ、調査回答者の42%はテクノロジーを制御する人間の能力については悲観的だ。大多数は危険性と依存が我々人類の能力を越えて発展すると考えている。これは、調査において大番狂わせだった。
  3. テクノロジー拒否者(Refuseniks)はネットワークから隔離して暮らすことを選び、カルチャー的な集団となるだろう。テクノロジーによる変化に対するテロや暴力を犯す人達がいる一方で、情報過多を制限するための穏やかな手段としてこのように振舞うだろう。
  4. 人々はプライバシーを失ったとしても、メリットがあれば意識的・無意識的に自身についてより多くを晒すことになる。
  5. 英語はコミュニケーションの世界共通語になる。しかし他の言語が置き換えられるわけではない。実際には多くの人は標準中国語のような他の言語が広がっていると感じるだろう。
報告書は115ページから成るPDFになっており、読み応え十分。複数の専門家による予測を取り纏めたものなので、1か0かのような断定的な書き方ではなく、あるシナリオに対し、Agree/Disagreeをパーセンテージで示しているところが特徴的。

例えば、シナリオ1の「A global, low-cost network thrives」では、Agree=56% Disagree=43%だ。ただし「モバイルデバイスがグローバル接続の鍵となる」という個別予測に対し、「ネットワークは完全にはならない」「著作権侵害やDRMが最大の摩擦だ」といった反論がある。「新しい或いは異なるネットワークが出現する」という個別予測に対しては、CiscoのFred Baker氏が新しいネットワークが既存のネットワークを置き換えるかもしれないとか、相互運用性の確保は難しいとか述べているし、Scott Moore氏は政府や企業が制御し易いネットワークを使い出すだろうと述べる。デジタル・ディバイドのことも語られていて、貧困のために少なくとも30%はネットワークに接続するのは依然困難。健康・教育・基本的なアメニティの問題を考えると発展途上国のことを楽観的に考えすぎだといった指摘も掲載されている。もちろん、このブログで何度か紹介しているMITのNicholas Negroponte氏のOLPC(Open Laptop Per Child)のことも紹介されている。

こういった形で予測の「ゆらぎ」を読み手が感じるところができるのが面白いと思う。

というわけで、まだ読み始めたばかりだけど、エージェントのところでSemantic Webについて殆ど言及が無いのは気になっている。
The technology to make the internet easy to use continues to evolve. World Wide Web innovator Tim Berners-Lee and other internet engineers in the World Wide Web Consortium are working on building the “semantic Web,” which they expect will enable users worldwide to find data in a more naturally intuitive manner. But at the group's May WWW2006 conference in Edinburgh, Berners-Lee also took the time to campaign against U.S. proposals to change to an internet system in which data from companies or institutions that can pay more are given priority over those that can't or won't. He warned this would move the network into “a dark period,” saying, “Anyone that tries to chop it into two will find that their piece looks very boring … I think it is one and will remain as one.”
というように、金を出す者が優先される、ネットワークの中立性に逆行するような「暗黒時代」になる危険性の方が高いと書かれている。うーむ、違う方向に発展するということかなあ...。

とりえあず、読み進めてみます。

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