新聞は基幹メディアだそうだ(笑)

またかー。元ネタは2007年全国メディア接触・評価調査。調査主体(資金提供)が(社)日本新聞協会と広告委員会、調査実施が時事通信社と国立世論調査所の出身者で構成される(社)中央調査社である。
新聞:「読んでいる」92.3%…基幹メディア改めて確認 - 毎日jp(毎日新聞):
日本新聞協会(会長・北村正任毎日新聞社長)は、「07年全国メディア接触・評価調査」の結果を発表した。回答者のうち、「新聞を読んでいる」と答えた人が92.3%に上り、協会は「日常生活に欠かせない基幹メディアであることが改めて確認された」と分析している。
日経リサーチにあった論文「調査の信頼性(鈴木督久氏)」によれば、日本の調査業界・学界には回収率信仰があるらしく、日本銀行や内閣府の世論調査の仕様説明書は「回収率70%以上」だそうだ。逆に欧米では回収率にこだわる(要求する)風潮はないとのこと。

論文で鈴木氏はこう述べる。
「よい調査」とは回収率の高い調査であり,回収率が低いほど悪質な調査である――という認識が日本で硬直している
今回は「有効回収数(率): 3,620(60.3%)」と明記してあり、調査方法は「訪問留め置き法」。この調査の主旨から考えて、新聞を読まない或いは興味のない人にとってはそもそも調査票を置いて行かれることを拒むのではないか。調査側も回収率にこだわる(条件となる)から、回収の見込みがないところには調査票を置いていかず、さっさと次候補をあたるだろう。僕ももし調査員が来ても主旨を聞いたら「お引取りを」って言うだろうな。

従って、100%-60.3%=の約40%だけでなく、調査し損ねた数も入れないと本当の実態はわからない。「訪問して調査票を置かせてもらって、さらに後日回収できた人」は新聞をほぼ読んでいる人だろうから、「92.3%が新聞読んでて基幹メディア」と言われてもねえ。かなり恣意的というか詐欺ですか、と。

ところで、参考にした日経リサーチの講演・論文情報はなかなか面白い。このテーマに興味のある人は是非アクセスしてみるとよい。