スポーツナビ|世界陸上2007 大阪|露呈した大会運営のつたなさ(2/2) 競歩の山崎、誘導ミスでの“途中棄権”マスコミがこぞって「周回のチェックミスが原因」などという、通り一遍の組織委員会の発表をそのまま垂れ流している間に、折山さんはさっさと「コースの狭さ」「運営経験の少なさ」という2つの要因の分析を通じて「組織委員会が競歩を軽視」していたであろうということを見事に浮かび上がらせている。久々にプロの記事を読んだって感じ。
何より驚くのは、7月23日の前記事で既に
スポーツナビ|世界陸上2007 大阪|「競歩」 日本が世界に急接近する種目(2/2):と、今回の事故を予見するかのように問題提起をしていること。
さらに選手とは別な問題は、大阪の競歩コースの道幅がかなり狭いものになりそうな点だ。テストイベントとして行われた5月6日の日本選手権男子20キロは片側3mの往復2キロコースで実施された。これは、これまでの世界大会のコースと比べても極端に狭いものである。
道路競技審判長の「たまたま」発言や「周回記録員のカウントミスが原因」という組織委員会発表と比べて、あまりに違いがありすぎる。210億とか471億とかの経済効果に目が眩んで、批判や助言に耳を貸さなかったんだろうか。
そもそも人間はミスをするもの。最近はプロジェクト管理においても失敗に関する理論というか失敗学を勉強することが流行であるが、少なくとも製造業の人達は今回の組織委員会発表をせせら笑っていることだろう。事故が起こることには理由がある。カウントミスは誤誘導の原因だが、所詮は現象であって本当の原因ではない。ハインリッヒの法則というのがあるが、これは1件の重大事故の陰には「29件の軽事故」があり、「300件の事故ではないがヒヤリとした体験」が隠れている、別名「1:10:300の法則」。
今回の世界陸上で発生した「手配ミスで部屋ない事件」や食中毒の事件、GIGAZINEが報じて公になった運営の裏側の混乱ぶりを考えると、まさにハインリッヒの法則で起こるべくして起こった事故だと考えても不思議はなく、こういう偉い方々の責任を問うマスコミがあってもよさそうなんだが。
まあ、どこかの誰かに遠慮してとか、東京オリンピック誘致の致命傷にならぬようという自主規制ってやつでしょうか。