MSのR&Dの資産計上

最初読んだときは何とも思わなかったが、考えてみると諸手を挙げて「ゲイツはエライ!」とは言えないのではないか。
Life is beautiful: ソフトウェアの資産計上に関する素朴な疑問:
ちなみに、そのWarren Buffetととても仲の良いBill Gatesは経営者としては非常に慎重・保守的で、マイクロソフトのR&D費用は常に100%その期の経費として計上されている。とかく評判の悪いVistaだが、5年もの間何千人ものエンジニアをVistaの開発に従事させ、発売までその費用を経費として計上しつつも毎年莫大な黒字を出し続けて来たマイクロソフトという企業はやはり大したものだ、と思った私である。
R&D費用は、
  • 全額費用化
  • 全額資産化
  • 選択的資産化
  • 仮勘定計上
の4種類の処理方法がある。全額費用化法が一番透明性が高そうに思えるけれど、蓄積される知財(例えば特許)という観点に立つと、全額費用化によってそれら知財は財務諸表からは見えなくなる(オフバランス)というデメリットがある。従って、全額費用化法が最も株主へのディスクロージャーとして正しい、とは必ずしも言えないと思う。こんなこともあるので、R&D費用の会計計上についての議論はまだ続いているのだと認識していんだが...。MicrosoftがR&Dを全額費用化しているのは、単に米国で全額費用化がスタンダードであるということと、(はてブコメントでもあったが)黒字減らし、つまり節税のためと考えるべきでは?

ところで、米国では知財の扱いも問題になっていると聞き、資産化オッケー?と思いきや、さにあらず、連結企業などでコストシェアリング契約により、全額費用化に加え知財からの恩恵分をさらに上乗せで費用計上するという流れがあるようだ。
ベンチャー企業にとっては、黒字を計上するためにも、R&D費用やソフト開発費すら資産計上したいところだろうが、逆というか、なんだかより厳しくなる方向ということか。