ノルマは10,000時間

複雑な仕事において優秀であるためには最小限の実践レベルが必要であるという考えは、繰り返し研究されていて、研究者達が考えるマジックナンバーは10,000時間だそうだ。
Malcolm Gladwell asks is there such a thing as pure genius? | Books | The Guardian:
This idea - that excellence at a complex task requires a critical, minimum level of practice - surfaces again and again in studies of expertise. In fact, researchers have settled on what they believe is a magic number for true expertise: 10,000 hours.
最低限で10000時間。週40時間として250日。実現可能なようだが凡人にはキツイ。さらに時代に名を残すには10000時間だけでもだめで、天賦の才に加え、ある種のタイミング・ウィンドウに入っていないといけない。

ビートルズもある年齢の時にハンブルグで演奏地獄を経験した時期があった。"In Hamburg we had to play for eight hours, so we really had to find a new way of playing"とジョンレノンが語ったそうだが、彼らが1964年にブレイクするまでには既に約1,200回のライブをこなしている。

最近、Forbes誌は歴代の75人の大金持ちリスト(ファラオ達からウォーレンバフェットまで)を発表したが、14人は19世紀中頃のある9年間 - 1831~1840年に集中している。カーネギーやJPモルガンがそうだ。彼らは鉄道が造られウォール街が出来た時に一定の年齢幅にいた。1840年代後期の生まれだとそのチャンスを活かすには若すぎ、1820年代であれば歳をとって頭が固くなりすぎてチャンスを逃すことになっただろう。

時代は変わり、20歳か21歳で1975年1月の$397のAltair8800に出会ったのは、既に10000時間のトレーニングを経た1955年生まれの彼らだった。

Bill Gates - 1955年10月28日
Steve Jobs - 1955年2月24日
Eric Schmidt - 1955年4月27日
Bill Joy - 1954年11月8日
Scott McNealy - 1954年11月13日
Vinod Khosla - 1955年1月28日
Andy Bechtolsheim - 1955年6月
Steve Ballmer - 1956年3月24日(ご愛嬌?)

と、こんな感じでビルジョイに始まり、ビートルズ、モーツァルト、ビルゲイツ、ジョブズなど様々な例を挙げて一定のパターンがあるとコラムでまくし立てる。下のほうまで読むと、Outliers: The Story of Successという書籍の宣伝とわかるんだけど、さすがは、Blink(邦題:第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい)やTipping Point(邦題:ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか)の著者マルコム グラッドウェル。要約でかなりネタバレさせるやり方がマーケティング屋っぽい。関西居住の古めの方は知っているかと思うが、浜村淳のしゃべりすぎて大ヒンシュクを買うマエセツ手法みたい(笑。

邦訳が出たら読んでみたい気がする一方で、インタビューを読むとちょっと不安に。よせばいいのにアジアや農耕文化みたいなことにも触れていて、8歳の日米の子供に算数の難問を与えると、アメリカの子は3,40秒で諦めるが、日本の子は15分経っても諦めないとかなんとか言ってるなあ。

表面上、これとは逆のことを書いている内田樹氏の記事を読んで思ったのだが、結局、欧米も費用対効果の世界へ突入ということなのかもね。