Happy 50th Helvetica !?

前記事がBookと来たので次はFontで(笑) フォント・タイプフェース(書体)のHelveticaは今年で50歳だ。3月には記念イベントも開催されたようだ。そしてなんとドキュメンタリー映画まで!

他にもTrailerは何パターンかあって、ここで見ることができる。

Helvetiaの歴史
Helveticaは1896年にH.Berthold AG社によって作られたAkzidenz Groteskという活字フォントからインスパイアされた書体。Groteskは「怪奇な、ばかげた」のグロテスク。歴史をさらにさかのぼると、本来のゴシック体は聖書の印刷用(グーデンベルグの時代)で、これで記述されたものをGothic ScriptまたはBlackLetterと呼んでいた。



これが19世紀になって、グロテスク(Grotesk/Grotesque)になり、サンセリフ(sans-serif/sanserif)(サン+セリフ=ひげ無し)とも呼ばれるようになる。

ここで、先ほどのAkzidenz Groteskに繋がる。Helvetica(ヘルベチカ)は1957年にスイスのHaas書体鋳造工場において、マックス・ミーディンガー(Max Miedinger)がディレクタのEduard Hoffmannと共にデザインしたサンセリフ書体ということになっている。また、1957年に生まれたときは「Neue Haas Grotesk」という名前だったのだが、1960年に「Helvetica」という名称になったということだ。

TypoWikiではこの部分の経緯がもう少し詳しく書かれている。まず、1950年代中頃にHaas Groteskができ、1957年にフランクフルトのD.Stempel社がこの書体をLinotype機で使えるようにしようと決意。結果、Hass, D.Stempel社とLinotype社との共同で生まれたということだ(3社は1900年以来協業していたようだ)。

D.Stempel社はライバル会社Haasにちなんで名付けられた書体を売る気はなく、Switzerlandのラテン名であるHelveticaに名前を変えたがっていた。しかし、ドイツの商標登録機関が国の名前であるSwitzerlandを商標としては認めなかったため、書体は「洗礼名Helvetica」だったとのこと。その後、1960年代~1980年代にかけ、ファミリーとして多くのHelveticaナントカという書体が生まれている。

Helvetica vs Arial
さて、Helveticaと言えば必ず引き合いに出されるのがArial。Arialは1982年にMonoType Imaging社のRobin NicholasとPatricia SaundersによってIBM向けにデザインされた。その後、1990年にTrueTypeとしてWindowsに搭載された。

安価であることから、Postscriptプリンター向けに採用され、今ではMac OS Xでも使えるようになっている。が、非常によく似ており、パクリだと揶揄されている。Helvetica vs ArialにまつわるクイズFlashゲームもあって、なんか怒りが伝わってくるようだ(笑)

下は見る人が見ればどちらがHelveticaかわかる。



見分け方はaとかRの文字。なーんて言わなくてもちゃんと見分け方を解説したページがある。見分ける必要がない? うーん、確かにデザイナーさんとかでない限りは殆ど関係ないかもね(笑) 実際にはArialはHelveticaよりもUniversに近いとのこと。

I hate Helvetica
さて、Helvetica 50周年に関連して、先頃、BBCが面白い記事を書いている。
BBC NEWS | Magazine | Helvetica at 50:
Helvetica's message is this: you are going to get to your destination on time; your plane will not crash; your money is safe in our vault; we will not break the package; the paperwork has been filled in; everything is going to be OK.
Helveticaが発するメッセージは、予定調和的スマートさだ。目的地には時間通り到着。飛行機は落ちない(当たり前)。お金はちゃんと金庫にある、云々。ビジネスのための書体といってもよく、「マジメ」、「正常」といったイメージで好んで使われる。
BBC NEWS | Magazine | Helvetica at 50:
But not everyone is a Helvetica lover. Type 'I hate Helvetica' into Google and there are forums for people who rage at the mindless 'corporate chic' of this dominant font.
一方で、Helvetica嫌いという人々もいる。「Googleで'I hate Helvetica'と入れてみろ」というこの記事は既にいくつかのブログで引用されている。会社チックな書体なので、消費者フォーラムなんかで、坊主憎けりゃ書体も憎い的に糾弾されているようだ(笑) ただ、このあたりの感覚は僕ら日本人にはわかりにくい。筆記体はくだけた感じだというのはわかるけど、Timesならどうなのか、Lucidaならどうなのか、とかねー。

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コンサル業界の友人曰く、「HG創英角ゴシックUB」を使えと言われるそうだ。10pointとか12pointくらいでアンチエイリアス(ギザギザをぼかせてくれる)がかかるからで、文字が大目多めのプレゼンで見栄えがするというのがその理由。MS-Pゴシックなんかを使っていると、(内容とは関係なく)プレゼンに関しては素人かなと思われるんだって。広告代理店系もそうなのかな?Mac OS XやVistaだと常にアンチエイリアスなのでこの技(?)はどうでもよい話になります。

ということで、今回は自称フォントヲタっぷりが炸裂した記事になりました(笑)。
rinmon氏のコメントがあることを期待しよっと...。