Web2.0に足りないもの

"Web as platform"のためには2つの問題を解決しなければならぬというスイスのGabor Cselle氏の記事。2日前だけどなかなか興味をそそるので取り上げてみた。これが解決できないとOfficeは無くならないぜって。
Gabor's Blog: What's Missing in Web 2.0?:
Web applications replacing the desktop? Here are two problems we need to solve before that can happen.
2つの問題とは、
  1. オフラインアクセス
  2. 暗号化されていて且つ検索可能なストレージ
で、1は彼の持論を紹介しつつ、以下の3つの処理を実現すればよいと言っている。
  • オンラインデータのローカルキャッシュ機能
  • ユーザーインターフェースをブラウザ又はローカルサーバーでローカル処理として実現
  • ローカルデータとサーバーデータの同期機能
2は、GDriveのようなサービスが出ても、暗号化されていなければユーザーは本気では大切なデータを預けることはしないという主張による。技術的には"Practical Techniques for Searches on Encrypted Data"という論文を紹介しつつ、暗号化されたデータをアクセスするクライアントのコア部分は秘密鍵をこっそり送信していないことを保証するために、オープンソースでなければならないとも言っている。

前述の論文自体も興味を引く。ユーザー認証を伴うControlled-Searchなのだが、通常のキーワード検索以外に、サーバーサイドでは何を探しているかがわからない「秘密のサーチ」について、順次検索の場合と索引検索の場合の方法について述べている。大規模は索引検索となるが、核となる索引の検索方法は暗号化されたドキュメントを指すキーワードと出現位置情報のリストがあって、キーワードではなく位置情報を暗号化するのがよいといったことが書かれているようだ。Gabor氏自身はこの内容について、シンプルで判りやすいが、2段階検索になる点とユーザーのアクセスパターンをサーバー側が知って索引化しておくことについて問題を指摘しつつも「許容範囲」だとしている。

このブログ記事のコメント欄がこれまた活況で、1については「もうMoxieでやってるぜ」とかいう指摘も寄せられている。このリンク先のブログを書いているBrad Neuberg氏はdojoフレームワークを使ったローカルストレージを試したようだ(テストページ)。彼はストレージプロバイダをJavascriptで実装したけど、永続的な(いわゆる常駐型の)ストレージプロバイダとしてはFlashがいいとも述べている。Moxieをfirefox1.5.3で少し試してみたが、オフラインでも確かにちゃんとアクセスできるし、ブラウザを一旦閉じて再サクセスしても大丈夫(ブラウザ設定によるだろうけど)。
Brad Neuberg: Coding In Paradise: Now in a Browser Near You: Offline Access and Permanent, Client-Side Storage, Thanks to Dojo.Storage:
Dojo.storage is in beta and is inside the Dojo Subversion now. It will be bundled with the next release of Dojo, including with Moxie, but you can download it now. Links:

* Download ZIP file of Dojo with Dojo Storage, Dojo Flash, and Moxie
* View dojo.storage files
* Run Moxie
* Run Test Storage Page
2つのテーマとも面白い。
これをスタートに今年の論文に挑戦してみるのもいいかも > 某社の方々。

[][][][]