What's in Store:これを評して「WinFSは死んだ」というdiggエントリーが票を伸ばしている。
These changes do mean that we are not pursuing a separate delivery of WinFS, including the previously planned Beta 2 release. With most of our effort now working towards productizing mature aspects of the WinFS project into SQL and ADO.NET, we do not need to deliver a separate WinFS offering.
そもそもこの発想としてはファイル・システムをデータ定義がデータベースにしてしまえば、柔軟なアクセスができるようになるってことだけど、
- 将来現れる未知なものを含め、ストリーム型などの非構造化データをどう扱わせるか?
- DBA(データベース管理者)が要らないようにするにはどうするか?
- Performance
- Security
結局、フツーの人々が使うPCに、さらに肥大化したSQL Serverエンジンを載せる必要がどこにあるのか全くわからん。MSDEでまだ懲りていないのかと思いつつ、いろいろコメントを読んでいると
What's in Store : WinFS Update:なんて、落としどころとして「なるほど!」という意見もある。ファイルの実体をデータベース内にブチ込むなんてことじゃなくて、ファイル管理情報だけをコンパクトなデータベースとして提供してくれればよいと。全文検索はGoogle Desktopとか他の優れたものがあるからそれで十分だし、Microsoftとしても「フォルダ・ビューを仮想的に提供する」という当初の触込みを最初のVistaで苦もなく実現できるではないか。
I wanted a system that stores the file information itself to a database, a very simple database, not a database of the file contents.
「結局のところ、MicrosoftはWinFSの真のユーザーに気が付いたのだ」という見方もある。やっぱり、一般ユーザーではないだろう、サーバーサイドというか開発者ではないかと。だからADO.NETとSQL Serverに統合するのだ。その見方には僕も同意する。一般ユーザー(というかExplorer)向けには前述のファイル情報が格納された軽いデータベースで十分。
WinFSがこのような結末を迎えることになったとしても、Vistaの魅力はそれでもあると力説する人もいる。WPF(Avalon)とAeroとWDDM(Windows Driver Display Model)といったものは有名なのでおいておいて、それ以外に
- UAC - 否定的な意見もあるが、セキュリティ面での心配が提言するのはいいこと
- Kernel Scheduler Changes - コンテキストの切替が改善され、メディア再生がよりスムーズになるなどの効果
- New TCP network stack - テストでは400%の性能向上だとか?
- 完全統合された検索 - MacOSのシャーロックやGoogle Desktop Searchを超えるか?
- Modular SKUs - モジュール間の結合が弱くなり、パッチや新機能追加時にリブート不要という効果が見込めそう
パーソナルユースとしては別に否定しないが、企業ユースとなればUAC以外はほとんど魅力がないように思う。そもそもこれからの経営者としては、パフォーマンス面で問題がないシンクライアントが提供されるならば、「リスクの温床」であるPCは導入を止めたいだろう。ベンチャーさんやSOHOの方には考えられない話だろうけど、金融機関だけでなく一般の大手企業経営層でも(企業は個人名で仕事をすることはない部署もあるとの考えから)1人1メールアドレスの廃止やWebブラウスの詳細制御とか、これまでとは逆の話が情報システム部門の外側で出始めているのだ。
"Information at your finger tips"はBill Gatesが1990年代に提唱したスローガン。Gatesの引退と共に、この言葉も葬り去られるのか? 今の時代、「うへへ、大事な情報もオレの指先一つで...」というのは、確かに言いにくいことではあるな。