アムステルダムでメディアと文化を研究しているTwan Eikelenboomが、そのGeoday 2007の内容を記事にしてくれているだが、これがリンク先を含めてなかなか面白い。
- Google Geoday Benelux 2007 Report « neWMW(Google Blogoscopedにもほぼ同じ内容が寄稿されている)
そのエッセーの中身だが、1990年代は仮想現実(VR)の時代。そして、この10年は物理的フィジカルの時代なんだそうだ。定点観測のようなビデオ監視、セル空間ネットワーク技術(GPS, PDAなどを駆使した移動体通信環境)、個々のユーザーによってカスタマイズできる情報レイヤの3要素が合わさるとどうなるかはメディアでは議論されてこなかった。さらに、
- ユビキダス・コンピューティング
- AR(拡大現実. 1945年にはその概念が発表されているようだ(驚))
- タンジブル・インターフェース(物理スペースそのものをUIとして扱う)
- ウェアラブル・コンピュータ(塚本教授の世界。こんなこともやってらっしゃるようだ)
- インテリジェント・ビル(ビルそのものがCellアプリケーションに繋がる)
- インテリジェント・スペース(2001年宇宙の旅のHALの世界!)
- 文脈コンピューティング(藤元さんが言ってたAIDSUASSのハナシ)
- スマートオブジェクト
- ワイヤレス位置サービス、
- センサー・ネットワーク
- 電子ペーパー
Googleはこの空間拡大を見抜いていたか、気付いたのだろう。Google EarthだってMapsだって白地図みたいな状態ではいずれ飽きる。大西洋を泳いで渡ったとしてもね。実際の空間の拡大はMash Ups(マッシュアップ)が鍵なのだ、とTwanは述べる。そして、Remcoのプレゼンを紹介している。これは、アムステルダム周辺の飛行機騒音を「リアルタイムで」モニタリングするマッシュアップ。
騒音レベルはグラフでも表示できる。
こうやってGoogle EarthやMapsとのマッシュアップによる空間拡大の魅力を説明しつつ、最後に午後に行われたワークショップの内容に触れている。リンクとして紹介されている、Google Earth workshopとGoogle Maps API workshopは役に立ちそう。
さて、この記事を読んでの感想というか疑問。まず物理空間の拡大はよいとして(Googleにとっても広告空間が広がるしね)、Objectも増える、でもSubjectである我々の数は変わらないので、情報が拡散するとか質をどう考えるのか。UIに関係するのでSubjectに対しSticky(粘着)というかconcentration(集中)が前提?というのがひとつ。もう一つは、開発者の重要性というか質・量の拡大をGoogleはどう考えるかってこと。さしあたり、Larry PageとSergey BrinはSteve Ballmerみたいに叫ぶ必要があるのでは....。
とにかく、「便利だねえ」となんとなく使っている、Google EarthやGoogle Mapsの背後には結構深いテーマが隠れているのだと改めて再認識された記事だったな。