諸君

諸君。IDCによる予測では、GoogleかYahooがsalesforce.comを買うかもしれないとしている。
Will Google Buy Salesforce.com?:
He predicted Google (Quote) or Yahoo (Quote) would purchase the firm as a way of moving upstream into the enterprise market from their consumer roots. The notion flies in the face of Google's own feelings on the subject.
日本語版記事はこちら。Forrester Reseachの主席アナリストCharlene Li氏はGoogleは消費者寄りだと否定的な見解だし、GoogleのDavid Girouard(ビジネス部門長)も消費者指向でないものは興味が半減すると述べている。

少数派の諸君。僕はこれはGoogleが三味線を弾いているのではないかと思うのだ。何故か? 無論、彼らの目的はMicrosoftやSAPやOracleを倒すことではない。あくまで関心事は広告だ。そう、広告。

真面目な企業人は基本的には勤務中にインターネットをアクセスしない。或いは、禁止されている --- 勤務中の8時間は広告を出したい者にとってはSweet Spotなのだ。考えてみれば、After Fiveにインターネットでちょこっと広告を見てもらうより、勤務中に広告を出せれば、1人あたり8時間という大きな広告の場を得ることが出来る。対象も社員全員だったりする。

企業が許さない? 否、広告出展を許すことでITコストが下がればどうか? 表示する広告も「インテリア関係」だとか「PC関係」だとか、ある程度自社業務に関連するセグメントを絞れば、それほど目障りではないし、ニュースサイト誘導広告なら尚更だ。中小企業やベンチャーだったら、勤務時間中における広告出展を許可することによって、Salesforce.comのアプリケーションが無料ないし割引価格で使えるならば、ためらわずにそれを選択するはずだ。SOXの圧力もないし、CRMも会計アプリもタダなんだから。

他方、Office 2.0の牽引者である、itreduxのismaelはOffice 2.0 Startups Should Join the AppExchangeだと述べている。Office 2.0にとっては、群雄割拠の今の状態ではなく「選択の場」が必要だ。450,000,000人のMS Officeに対応するユーザーベースが必要だ。

諸君。Web 2.0で何かが変わると思ったら大間違いだ。所詮、Web 2.0なんか普通のユーザーにとってはAfter Fiveのお祭に過ぎない。ビジネスアプリケーションに広告モデルが導入されなかったら、MS Officeが、SAPが、OracleEBSが勝つに決まってるじゃないか。GoogleがSalesforce.comを買収し、Office 2.0企業がAppExchangeに参入する --- この2つのシナリオが合わさったとき、大きな変化が訪れるのではないかと思わないか?

最後に一応言っておく。Googleがこんな密かな企みを隠しているとしたら、Discruption指向の僕としてはビビる。競合他社もビビる。

(しかしアレ確信犯とはいえ、面白かったね)。