顔研究

The Wisdom of Crowdsというわけではないが、顔研究のサイトであるFaceResearch.orgでは、魅力的な顔とは何か?という実験やアンケートを参加型コンテンツとして実施している。Google Mapsを使った参加者マップもあって、やはり欧州と米国の参加者が多い。日本では熊本の方が1人だけ登録されているようだ。

実験が終わったいくつかの結果も公開してくれていて、例えば次のような報告が掲載されている。
  1. 平均的な顔とシンメトリについて(Averageness and Symmetry)
    顔が左右対称・非対称に関わらず、平均的な顔立ちが魅力的である。ただ、左右非対称の場合に人はより強い興味を示すらしい
  2. 平均的な顔 vs 魅力的さ(Averageness vs Attractiveness)
    平均的な顔よりも(面長のように)形がはっきりした顔の方が好まれる
  3. 感情の比較(Emotion Comparison)
    感情を表現するとき、まっすぐな目線の方がインパクトがある
  4. 男らしさのテクニック(Masculinity Techniques)
    平均よりも男らしくないと認知した顔の方が好まれる。これを利用して「男らしさ」を判別できるようになる
  5. 目の間隔と適応(Eye Spacing and Face Adaptation)
    目の間が広い男と狭い女を見た後、目の間隔をどう評価するかを調べた結果、人々は男と女の顔を別々に処理するに違いない
  6. 悲しみの感知と顔年齢(Sadness Detection and Facial Age)
    悲しさの表情は、若者を見た後と年長者を見た後では感じ方が異なる。年長者を見た後は、悲しい表情から受け取る感覚は薄れる
  7. 親の特徴(Parental Characteristics)
    人々は親の顔の特徴を好む
また、顔に関するコンピュータグラフィック技術研究をやっていて、その研究結果とそれを元にしたデモが公開されている。プログラミング言語ではないが、「プロトタイプ(phototype)」を用いた差分によって、顔の平均化や性別、人種、年齢を超えた移行、合成を行うやり方などの原理がわかるのが面白い。
デモサイトではこの効果をいろいろ試せるほか、レジストすると自分で任意の写真をアップロードして、平均化や移行や合成を試すことが出来る。静止画の他、アニメーションGIFも生成できる。昔、芸能誌や週刊誌で「~さんと~さんが結婚したらどんな子供ができるか?」といった企画物があったが、それの今風版。

考えてみると、顔ってたかだか20平方センチもないスペースなのに、それがIdentityを形成するというのが面白い。というか、もっと言えば、ホクロひとつでさえ別の顔に見えるのが不思議と言えば不思議。逆に自分の生活圏外の顔は違う顔も似たような顔に見える。顔の違いを認識する(あるいはしない)脳が凄いというべきか。