OOXMLに関する投票結果の実態

Microsoftが推している、Officeの文書フォーマットOOXMLをISO標準にする採択は、反対多数で一旦見送りとなったが、彼らは2008年2月の最終段階で承認を獲得できるとコメントしている。

投票結果は正確には、
1. Pメンバー(標準化に関わった国々)の賛成比率: 32ヶ国中、賛成17ヶ国 = 53.12%
    (必要数 >= 66.66%, 反対=15ヶ国、棄権=9ヶ国)
2. Pメンバー+Oメンバー全体の反対比率: 棄権を除く69ヶ国中、反対18ヶ国 = 26.08% (25%を上回ると否決)
結果 → 不採用
だ。この結果に関し、ISOおよびMicrosoftからアナウンスがあったが、Microsoftのアナウンスはかなり恣意的な表現だ、2/3(66.6%)の賛成が得られなかったので否決されたにも関わらず、「74%の支持を得た」と発表している。このあたり詳しくは以下の記事で読むことができる。
さらに賛成・反対を投じた国々を調べると、国際標準にされては困るような状況が浮かび上がる。
賛成(Approval):
米国(条件付)、アルメニア、キューバ、クロアチア、エジプト、ドイツ(条件付)、ギリシャ(条件付)、モロッコ、ナイジェリア、アゼルバイジャン、バングラディシュ、コンゴ、フィジー、ガーナ(条件付)、ケニア(条件付)、パキスタン、ポーランド(条件付)、ポルトガル(条件付)、ロシア、セルビア、シンガポール(条件付)、スイス(条件付)、ウクライナ、など
反対(Disapproval):
英国、ブラジル、中国、カナダ、フランス、デンマーク、インド、日本、韓国、ニュージーランド、ノルウェイ、フィリピン、南アフリカ、タイ、など
棄権(Abstention):
オーストラリア、ベルギー、フィンランド、イスラエル、イタリア、メキシコ、オランダ、チリ、ペルー、スペイン、ベトナム、など

[via Groklaw]

日本を含め、IT先進国はほぼ反対か棄権であって、主として発展途上国が賛成票を投じている。MicrosoftがOpenXMLを国際標準にすべくロビー活動をしているという話があるが、実際問題として、こんな状況で国際標準にされてしまっては大迷惑。Microsoftも最近はSurfaceとかSilverlightで「なかなかやるじゃないか」という声もあるので、こういう誠実さを疑われるような活動は自粛した方がいいと思うけどなあ。

尚、競合するOASIS OpenDocument Format (ODF) - OpenOffice.orgなどが採用している書式は反対票無し(棄権票は少し有)で昨年通過しているとのこと。Googleはどう考えているか? もちろん、OOXMLには否定的です、はい。

*Updated*
Googleが正式に今回の投票結果を歓迎すると表明しましたね。
Google Code - Updates: Google welcomes ISO decision on OOXML:
Google welcomes the ISO decision to not approve the fast track of Office Open XML (OOXML) proposed standard DIS 29500 (ECMA 376).
あと、こんなサイトも。今回の投票にあたってのデンマークやポーランドのスキャンダル、何故ロシアが賛成したか、とか、まとめサイト風になっているのが面白い。