ゲイツが放つバグ

ビルゲイツのTED2009での講演。テーマは「マラリアを広める蚊の撲滅」と「優れた教師をどうやって育てるか」。




教師云々の話は興味ないのでパス。

マラリアの件は先日、ガイアの夜明けで住友林業さんのOlyset Net、つまり、殺虫剤練りこみの蚊帳をODA予算で買い取って住民に無償配布することで、マラリア対策に役立ちビジネスにもなるという特集をやっていた関係で、ちょっとまじめにコメントも読んでいたんだけど、以下が強烈です。

Bill Gates unplugged | Video on TED.com:
-First, people don't even use their bed nets because of the hot climate. In the North Cameroon where I am from, people sleep not in their bedroom but outside on the floor hoping that wind can blow to reduce the temperature.
北カメルーンでは暑いのでベッドでは寝ない。風で暑さがやわらぐ外で寝る。

-Second, populations can only use their bed nets when they sleep. But mosquitoes start biting around 5 p.m. Assuming that people go to bed at 10 p.m. From 5 to 10 pm people are not protected, so they will end up developing malaria.
蚊帳は寝るときに使う。しかし蚊は夕方5時近辺で活動する。夜10時に寝るとして、5時から10時は無防備だから結局はマラリアにかかる。

-Third, why not follow the example of malaria eradication in USA to apply in Africa. Malaria has been eradicated in US not because Americans used more bed nets than any other country.
米国でマラリアが根絶できたのは他の国より蚊帳をたくさん使ったからではない。

コメント主は西アフリカのカメルーンからの人らしい。カメルーンではどういう蚊帳が適用されているのかわからないが、ワクチンもムダ、とにかく、ゲイツの言っていることは時間のムダ、カネの無駄、生命の浪費とバッサリ切り捨てる。

2点目の部分から類推すると、蚊が減ることに言及していないので、殺虫剤練りこみではない普通の蚊帳のことを言っているんだろうか。また、別のサイトでは蚊の活動時間は「夜10時から朝4時」と書いてあるし、国によって違うのかな? 彼曰く、2008年の統計では蚊帳は増えたが、世界マラリアレポート2008はマラリアも激増したらしい。さらに、現実には病院以外でマラリアで死ぬ人は統計には数えらないんだと指摘。役立たないツールにカネを使わず、インフラ整備とか環境管理に投資しろと締めくくる。

まあかなり怒ってらっしゃるのがわかるが、報じている側の温度差が激しいというか、「ビルゲイツが、"There is no reason only poor people should be infected"(貧しい人だけがマラリアにかかる道理はない)と数匹の蚊を会場に放った(もちろん無害の)」ということを中心に取り上げていたり、Long Tailで有名なChris Andersonが「ゲイツがさらにバグを世界に放った、って揶揄されるぜ」とからかっていたりするのがなんとも。